学習会 脱原発のための放射線、原子力入門
2011.5.17(火)

講師:松尾圭さん
日時:5月17日(火) 午後2時から
参加者:13名

福島第一原子力発電所の事故の経緯の概要をうかがった後、私たちがニュースなどでよく耳にする単位や言葉について説明していただきました。
アルファ線、ベータ線、ガンマ線・エックス線、中性子線といった放射線の種類と、透過力が異なることもわかりました。
ベクレル(Bq)は、1秒間に原子力が崩壊する数で、どれだけ放射線が出ているかを示すもの。シーベルトは、どれだけ人体が影響を受けたかを示す値、とのことです。
自然界にわずかに存在するウランの同位体(化学的性質は同じだが質量数が異なる)U235の核分裂(ウラン235に中性子をあて熱エネルギーを放出すると同時に発生する中性子が連鎖して安定的にあたっていく仕組み)と原子炉の仕組みの簡単な説明。中性子の減速材には水が使われているということ、核燃料は指先ほどの大きさのチップであることを知りました。
放射線の人体への影響については、100mSv以下はわかっていない、疫学調査からは影響ない、とのこと。だからといって浴びても大丈夫というのではないが、喫煙や飲酒、食生活や加齢など他の要素の影響が大きすぎて放射線による影響が見えなくなる、ということであるとの説明。これには会場から「だから心配しなくていいというのはおかしいのではないか」との意見あり。地質による影響などもあるので、全く放射線を浴びないことはできませんが、どんな影響があるかまだ全くわかっていないことから、やはり少しでも浴びない方がいいのではないかと思われます。
国のエネルギー政策の見直しに関連して、各国のエネルギー研究開発費の割合を見ると、ドイツ、フランス、アメリカなどと比べても日本は原子力にかかる費用の割合がダントツに高いとのこと。また、電力は、需要が大きいが供給は少ない東京都では計画停電がなく、需要がないのに供給が多い福島は避難指示のため自宅に帰ることもできない、アンバランスな状況です。今後のエネルギーを考える上で大切なことは、電力の自由化(ドイツでは個人が発電会社を選んで契約できるため、再生可能エネルギーが増加した)。
原発廃止を求めていくには、正確な情報に基づいて論議すること、冷静にデータを分析し、マスの運動にしていく必要があるとのお話だった。
確かに、危ない、不安、だけでなく、きちんとしたデータに基づき冷静に議論していくことが大切で、原発の廃止とエネルギー政策の見直しに向け、働きかけていきたいと強く感じました。

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